スペインで製造されるスパークリングのワイン「カヴァ」について

カヴァ

スペインのスパークリングワイン「カヴァ」を飲んだことはありますか。

名前は聞いたことがあるけれど、どんなぶどう品種から造られていて、どんな種類があるのか、シャンパンとはどう違うのかなど、詳しくはよく知らないという人もいらっしゃるのではないかと思います。

今回は、「カヴァ」について、初心者の方にもわかりやすく解説します。

スペインのスパークリングワイン「カヴァ」とは

カヴァ
スペイン産のスパークリングワイン「カヴァ」とは、どんなワインなのでしょうか。

カヴァの基礎知識として、歴史やぶどう品種、産地について見ていきましょう。

カヴァについて

スペインのスパークリングワインの代名詞的なカヴァは、イタリアのプロセッコ、フランスのシャンパンに次いで世界第3位の販売本数を誇る、世界3大スパークリングワインの1つです。

カヴァという名前は、カタルーニャ語で「洞窟」を意味する言葉「Cave」に由来しています。かつて、ワインを熟成させるために洞窟をセラーとして使っていたことから名づけられました。

カヴァの歴史

カヴァが誕生したのは、1872年のこと。

カタルーニャ州ペネデス地方の老舗のワイン生産者として地位を確立していたコドーニュ家のホセ・ラベントス氏が、フランスのシャンパーニュ地方でスパークリングワインの製法を学び、地元ペネデス地方産のぶどうを使用して上質なスパークリングワインを生産することに成功したのが、カヴァの始まりです。

カヴァの評判は瞬く間に広まり、スペイン王室御用達にまでになりました。

カタルーニャでは、もともと赤ワイン用の黒ぶどうの栽培が盛んでした。

しかし、1880年代に発生した、ぶどうの天敵である害虫フィロキセラ禍の影響で、黒ぶどうの樹木が壊滅的な被害を受けます。

これを機に、カヴァ用の白ぶどうに植え替えられたことで、カタルーニャ地方でのカヴァ産業は飛躍的な発展を遂げます。

1959年には、カヴァと名乗るための法律が初めて制定されますが、当時は伝統的製法以外の製法も広く認められていました。

時は流れ、1970年になってようやく、シャンパンと同じ伝統的な製法だけに制限されました。

1986年にはスペインがEUに加盟したことで、原料となるぶどうの産地についても厳しい制限を求められ、現在のような産地に関するルールが定められました。

カヴァのブドウ品種・産地

カヴァに使われるぶどう品種は、白ぶどうが5種(パレリャーダ、チャレッロ、シャルドネ、マカベオ、スビラ・パレン)、黒ぶどうが4種(ガルナッチャ、モナストレル、トレパ、ピノ・ノワール)で、計9つの品種の使用が認められています。

主要な3品種は、チャレッロ、マカベオ、パレリャーダです。

チャレッロ

古代ローマ人によってカタルーニャに伝わったとされる品種。

はつらつとした酸味を与えるだけでなく糖度も豊富なため、しっかりとしたコクとボディを持った力強いカヴァに仕上がります。カヴァに使われるスペイン固有品種の中で最高品質とされます。

マカベオ

別名ビウラ。スペインを代表する固有品種のひとつ。

フルーティーさと豊富な酸味で、王道的なカヴァの味わいを生み出します。アロマティックな爽やかさを持つカヴァに仕上がります。

パレリャーダ

古くからカタルーニャにある土着品種で、コドーニュ家がカヴァを誕生させた時に選んで用いられた品種。

豊かで優雅な香りを持ち、カヴァには欠かせない存在です。繊細さや柔らかさをもたらします。

カヴァは、スペインのカタルーニャ、アラゴン、リオハ、バレンシアなどの州で造られていますが、スペイン全体で生産されるカヴァの約95%がカタルーニャ州産で、うち約80%がサン・サドゥルニ・デ・ノヤ近辺で生産されています。

カヴァとシャンパンの違い

スパークリングワイン
カヴァは、フランスのシャンパーニュ地方のシャンパンと同じく瓶内二次発酵を行う伝統的製法で造られる、スペイン産のスパークリングワインです。

製法は同じでも、使用されるぶどう品種と産地が異なるため、味わいが変わります。

カヴァは、フランスのシャンパンと比べて価格が圧倒的に安いのも大きな魅力で、世界的に人気が高い理由のひとつにもなっています。

カヴァの代表的な生産者

ワイン生産者の畑
カヴァはスペインのカタルーニャ州を中心に、多くの生産者によって造られています。

ここでは、特に評価の高いカヴァの代表的な生産者を紹介します。

コドーニュ

1551年創業の歴史あるワイナリー。スペインで初めて生産されたカヴァは、コドーニュ家が手がけたものです。

1897年にスペイン王室御用達に指定されて以来、現在もスペイン王室行事には欠かさず使われています。スペイン国内でのカヴァ売上額1位を誇る、カヴァ市場のリーディングカンパニーです。

ロジャーグラート

1882年創業。リリースされる全てのカヴァは、その年に収穫されたぶどうのみを使って造る「ヴィンテージ・カバ」であるのが最大の特徴です。

一番搾り果汁のみを贅沢に使用して丁寧に仕上げられたカヴァは、シャンパンの王様「ドンペリ」超えと言われるほど、高く評価されています。

フレシネ

1861年創業。スパークリングワインのジャンルでは、世界最大の造り手です。

「フレシネ・コルドン・ネグロ」は、シャンパンを思わせる高い品質が評価され、売上世界一を誇ります。

カヴァはシャンパンより気軽に楽しめる!

ハードルの高さ
スペインのカヴァは、高品質なスパークリングワインなのに手の届きやすい価格で楽しめます。

シャンパンは高くてなかなか手が出ないという人にもおすすめです。

普段飲みできるスパークリングワインとして、気軽に楽しんでみてくださいね。

カヴァ以外のスペインワインや産地はこちらで詳しく解説しています!