ビオディナミ農法って?その他の農法との違いについて解説!

ワイン越しの畑

自然派ワインに興味のある人なら、「ビオディナミ農法」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

近年、健康志向の高まりで、ぶどう栽培の段階からこだわった自然派ワインが増えてきていますが、違いがよくわからないと感じている人も多いかもしれません。

今回は、自然派ワインの中でも独特な農法と言われる、ビオディナミ農法の特徴や他の農法との違いビオディナミ農法を取り入れて造られているワインの魅力についてご紹介します。

ビオディナミ農法とは

ワイン畑
自然派ワインにはいくつかの農法がありますが、ビオディナミ農法は他の農法と比べて独特な農法です。ここからは、ビオディナミ農法について解説します。

農法の特徴

ビオディナミは、ビオロジック農法がベースとなった、独特な有機農法です。

星の位置などを記した種まきカレンダーを使用し、化学的な農薬や肥料に頼らず自然素材由来の肥料を使ってぶどうを栽培する点が大きな特徴です。

農法が生まれた背景・考え

ビオディナミ農法の誕生は、オーストリアの哲学者で科学者でもあったルドルフ・シュタイナーが、1924年に行った「農業再生のための精神的基礎」という全8回の講義が原点になったとされています。

哲学的なアプローチによって物質世界と精神世界の断絶を埋めることを目標としていたルドルフ・シュタイナーは、やがて農業に着目するようになります。

ビオディナミ農法では農場全体を1個の生命体系と捉え、病原体も自然環境の一部と考えています。
薬剤を使ってやっつけようとするのではなく、畑の環境を微生物など自然の力によって徐々に調整していくことで、改善しようとする考え方です

ビオディナミ農法以外のワインの農法

ブドウ
自然派ワインの代表的な農法には、ビオディナミ農法以外に「サステーナブル農法」「オーガニック農法」の2つがあります。ここからは、それぞれの農法の特徴を解説します。

自然派ワインとオーガニックワインの違いはこちら

サステーナブル農法

サステーナブルとは、「持続可能な」という意味です。

できる限り化学肥料や除草剤を使わずに、生態系との共存を目指しています。例えば、雨続きの天候でカビが発生しそうな状況では、必要最小限の化学物質を使うこともあります。

化学的なものは一切使用を認めないという厳格な規定ではないところが、サステーナブル農法の特徴です。

オーガニック農法

オーガニック農法では、化学肥料や除草剤の使用は一切認められていません。

畑のトラブルが発生した際には、ナチュラルな物質を調合したものを使うことで、生態系のバランスを崩さずに穏やかな作用で改善を目指すのが特徴です。

ビオディナミ農法を取り入れているワイン

引用:https://www.domaine-leroy.com/homepage/
世界には、ビオディナミ農法を取り入れて造られているワインがたくさんありますが、ここではその中でも特に有名なブルゴーニュ地方のワインをご紹介します。

ドメーヌ・ルロワ

ドメーヌ・ルロワは、フランス・ブルゴーニュを代表する超名門のワイン生産者。「ワインの個性は土地が決定するもの。ワインは畑で生まれ、生産者はその手助けをするだけ」という考えのもと、ブルゴーニュ地方の中で最も早くからビオディナミ農法を取り入れてきた歴史があります。

ルロワ社の現オーナーであるラルー・ビーズ・ルロワ(マダム・ルロワ)は、卓越したテイスティング能力で畑の個性を生かしたワイン造りに取り組んでいて、その素晴らしい味わいはワイン評論家からも絶賛されています。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ

超高級ワインの代名詞的存在の「ロマネ・コンティ」は、フランスのブルゴーニュ地方にある「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ」で、ビオディナミ農法によって生産されています。

畑の耕作は馬を使って、ぶどうの収穫は全て人の手で行われます。1本のぶどうの樹になるぶどうの数を制限することでぶどうの旨味を凝縮させ、収穫後も質の良い実だけを選定して醸造。澱引きや濾過は最小限にとどめ、ワインの移動にもポンプは使用しません。

究極の手間ひまをかけて丁寧に造られるワインは、年間わずか6,000本程度。そのため、高い品質と希少性から投資対象とされることも多く、最低でも100万円以上の高値で取引されています。

ワインのバックグラウンドを楽しもう!

ワイン越しの畑
安全でおいしいワインを飲むだけでなく、ワインの製造過程や生産者のワイン哲学など、ワインのバックグラウンドまで想像を巡らせることで、ワインの楽しみ方がさらに広がります。

ワインの知識や雑学に触れる機会が増えると、より深くワインの世界を堪能できるようになるのも、ワインの持つ大きな魅力ですね。